2025年2月19日水曜日

大野 雄二

 大野 雄二


ウィキペディアより


 大野 雄二(おおの ゆうじ、英: Yuji Ohno、1941年〈昭和16年〉5月30日- )は、日本のジャズピアニスト、作曲家、編曲家。静岡県熱海市出身[1]。『ルパン三世』シリーズの作曲家としても知られる。

日本テレビ音楽専属、フリーを経て、バップ専属で活動している。

演奏家・作曲家として

 静岡県熱海市にある旅館瑞雲荘大野屋(後のホテル大野屋)の創業家に生まれ、小学生の時からピアノを始める[1]。6年生の2学期までは地元の小学校に通い、その後は小田原にある小学校・中学校まで越境通学していた[3]。小田原市立第一中学校(現:小田原市立城山中学校)卒業後は慶應義塾高等学校に進学[3]。同級生だった明石勇(クラリネット担当、後にNHKアナウンサーとなる)らと「ジュニア・ライト・ミュージック」を結成[1]。同時期に、独学でジャズを学ぶ[1]。慶應義塾大学法学部法学部政治学科に入学後は、名門ビッグバンド「慶應義塾大学ライトミュージックソサエティ」に所属[1]。鈴木"コルゲン"宏昌、佐藤允彦らと共に「慶應のピアノ三羽烏」と呼ばれた。佐藤は『証言で綴る日本のジャズ史』の中で、慶應在学中に大野と遊びながら和音を作ったと証言している。大野は前田憲男に師事した。


 大学在学中、渋谷毅の推薦で藤家虹二クインテットに所属し、プロ・ピアニストとなる。その後白木秀雄(大野のアルバム・デビューは、東芝から発売された白木秀雄クインテットでのLP『HIDEO SHIRAKI MEETS YUZO KAYAMA』)のバックを経て、自らのバンド「大野雄二トリオ」を結成する。


 1970年代前半にピアニストを休業し、作曲家活動に専念。テレビドラマや映画の劇伴などを手がけ始める。1975年には、しばたはつみの「シンガー・レディ」を作曲した。アルバムでは11曲中8曲を作曲している。


 1976年、映画『犬神家の一族』の音楽を担当。なお、同作に主演した石坂浩二は慶應義塾高等学校・慶應義塾大学法学部の同級生であり、アルバム『音楽と幻想』をリリースしている。劇場公開時のパンフレットには、石坂が大野のレコーディングスタジオを訪ねた記事が掲載されている。


 多いときは、ルパン1シリーズで200曲も書いたという。楽器は使わず、朝起きたらすぐに鉛筆を握り、五線紙に向かう。新シリーズのたび、1日15時間を作曲や編曲に費やす生活を3カ月間続けた。


ルパン三世と映像音楽

 1977年にはテレビ版『ルパン三世』第二シリーズの音楽を担当。大野は、70年代前半の「ジャズロック」「クロスオーバー」を継承し、映画音楽や歌手のアルバムに反映させた。1977年の映画『人間の証明』ではジョー山中が歌った「人間の証明のテーマ」を担当する。1978年には『野性の証明』の主題歌、町田義人の「戦士の休息」を作曲した。


 松木恒秀(ギター)、長岡道夫(ベース、SHŌGUNのミッチー長岡)、数原晋(トランペット)、渡嘉敷祐一(ドラムス)、市原康(ドラムス)などと結成した「You & Explosion Band」はテレビ番組、松田優作に関わる作品が多い。テレビアニメでは『ルパン三世』『海底超特急マリンエクスプレス』など、テレビドラマでは『大追跡』『大激闘マッドポリス'80』など、松田優作主演の映画『最も危険な遊戯』に始まる「遊戯シリーズ」の劇伴、バックバンドとして参加した松田のアルバム『Uターン』、後述の『24時間テレビ』のサントラ(クレジットは「大野雄二とYou & Explosion Band」)などがある。また、『犬神家の一族』に始まる初期角川映画3作品、テレビアニメ『キャプテン・フューチャー』『ルパン三世 PARTIII』は、バンドのレギュラーメンバーが参加しているが、原盤権が日本テレビ音楽(後述)ではないためクレジットではバンド名が異なっている。2015年放送開始のテレビアニメ『ルパン三世 PART IV』では久しぶりに「You & Explosion Band」名義が使用され、市原康、渡嘉敷祐一、岡沢章(ベース)といった当時のメンバーが再集結した。


 「You & Explosion Bandバンド」は大野の所属事務所であった日本テレビ音楽がプロデュースした作品で便宜的に使用される名義で、『ルパン三世』の第二シリーズでサントラを発売する際、名義が必要になったため形式的に名付けられたのが起源である。このため、制作作品に合わせて大野がセクションごとにミュージシャンを選抜し、恒久的なメンバーはいない。オリジナルアルバムとしては『SPACE KID』(2007年にCD化)・『FULL COURSE』などをリリースしている。後年の『ルパン三世』TVスペシャルのサウンドトラック録音でも、数原晋、杉本喜代志(ギター)ら、1970年代当時のメンバーも多い。2005年には「You & Explosion Band」名義のアルバム『Made In Y.O.』が発売された。内容は大野のこれまでの曲の、全て再アレンジの上での新規録音で、大野はアルバム制作のためライブ活動を3ヶ月休止した。


 大野の音楽性の特徴は、演奏能力のあるミュージシャンを積極的に起用し、自身のキーボード演奏(主にフェンダー・ローズによるもの)に、リズムセクションにジャズ・ルーツらしいホーンセクション・ストリングセクションを加えたバンド編成で、複雑な調性や和音、リズムを導入した。


 劇伴のジャンルで名を馳せた大野だが、弘田三枝子ソニア・ローザといった歌手のプロデュースも手がけ、成功を収めている。これらの作品は1990年代にレアグルーヴとして再評価された。

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 ソニア・ローザ(本名:Sonia Angelica De Carvalho Rosa、1949年 - )は、日本で活動する女性歌手。ブラジル・サンパウロ出身。日本でのボサノヴァ普及に貢献した[1]。クラブ・ラジオDJのDJ TAROは実子。

 サンパウロでナイトクラブ「イチバン」を経営していた小野リサの実父小野敏郎と知り合い、小野の推薦で大阪万博の招聘歌手として1969年に日本へ渡った。当時ボサノバはブラジルでは下火になっていたが日本では好まれていた。

 テレビ番組「ミュージック・フェア」に出演したことからサックスプレーヤー・渡辺貞夫クアルテットのレコーディングに招かれ、渡辺と全国ツアー公演に参加することになった。渡辺プロデュースで1970年に日本デビュー。ライブハウスで渡辺の演奏のもとで歌声を披露していた。渡辺が登場できない日にピアノを弾いていた大野雄二と意気投合。大野はTVテーマやCM音楽でソニアを数多く起用、アルバムも発表している。テレビ番組「イレブンPM」や大橋巨泉のラジオ番組、フジテレビ系「ナイト・ショー」にもレギュラー出演し、テレビドラマ「遥かな坂」のテーマ曲や日本歌謡曲も手掛けた。

全て大野雄二作曲。


男と女がいて(日本テレビ系『俺はご先祖さま』オープニングテーマ)

フェアリー・ナイト(よみうりテレビ(現・ytv)系『ルパン三世 PARTIII』エンディングテーマ)

愛のダ・カーポ(日本テレビ系『ルパン三世 愛のダ・カーポ〜FUJIKO'S Unlucky Days〜』挿入歌)

LOVE SQUALL(po do amor)(日本テレビ系『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』挿入歌)

NHK『銀河テレビ小説』オープニングテーマ

『鏡の中の女』(1981年)

『夏に逝く女』(1982年)


 1971年、新宿のミュージック・レストラン「グリーン・グリーン」のこけら落としショーに選ばれたのが縁で同店のオーナーと結婚したが、その後別の実業家と再婚。

 80年代後半以降、子育てに専念していたが、音楽性の再評価の高まりを受けて、2006年には実子・DJ TAROプロデュースでアルバム「DEPOIS DO NOSSO TEMPO」をリリースし、日本のミュージックシーンに復帰している。

フェラーリ・テスタロッサを愛車に、目黒の豪邸で夫と2人暮らし。


参考 記事 《特別寄稿》誰も書かなかった日伯音楽交流史 坂尾英矩=(24)=祖国では誰も知らない歌姫ソーニャ=日本ではボサノーヴァのパイオニア

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 また、電子音楽のレーベル「トランソニック」主宰の永田一直によるドラムンベース・プロジェクト「FANTASTIC EXPLOSION」は、1970 - 1980年代のテレビCMなどの音ネタと共に、大野やYou & Explosion Bandが手がけた作品の多くをサンプリングして使用し、1990年代後半に話題となった。『ルパン三世』のリミックスアルバム『PUNCH THE MONKEY!』では「非常線突破」のリミックスを(YOU & FANTASTIC EXPLOSION MIX)と題し手がけている。


『ルパン三世』を通じて山田康雄、小林清志、納谷悟朗らレギュラー出演者と交流があり、特に山田とは自宅兼スタジオ「STUDIO YOU」に招いて酒を酌み交わすほど親しい仲であった。1992年には、山田のCDアルバム制作で自宅スタジオを使い、劇中の台詞に「大野雄二」を呼ぶアドリブがある。1995年に山田が亡くなり、翌年のGWに公開された劇場映画第六作『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』並びに毎年恒例となっているTVスペシャルの第八弾『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』の音楽担当は辞したが、翌1997年には復帰している。PlayStation 2専用ソフト『ルパン三世 ルパンには死を、銭形には恋を』では劇中やクリア特典にポリゴンモデルとしてカメオ出演している。


テレビ音楽では主に日本テレビとNHKでの仕事が多かった。『ルパン三世』の他には、NHK連続テレビ小説『マー姉ちゃん』『いちばん太鼓』、SFアニメ『キャプテン・フューチャー』、『おひかえあそばせ』にはじまる石立鉄男ドラマ、NHKの紀行番組『小さな旅』、特撮ヒーロー『星雲仮面マシンマン』、NHKテレビアニメ『学園戦記ムリョウ』、テレビドラマ『俺はご先祖さま』『外科医 有森冴子』、NHK報道番組『ニュースセンター9時』(2代目テーマソング)『海外ウィークリー』『サンデースポーツ』『NHKニュースTODAY』なども担当。フジテレビでは時代劇『戦国ロック はぐれ牙』、テレビアニメ『スペースコブラ』の主題歌(劇中音楽は羽田健太郎)を手がけた。映画音楽では『犬神家の一族』『人間の証明』『野性の証明』『黄金の犬』のほか、劇場版『義務と演技』、にっかつ映画『おさな妻』などがある。


毎年夏恒例の日本テレビ『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』の第1回放送(1978年)では、ピンクレディーの曲を除き、テーマ曲「LOVE SAVES THE EARTH」からコーラス曲、手塚治虫のアニメに至るまで、音楽監督的な立場で参加。第2回以降も大野の音楽は使用され、第14回まで携わった。


イベントへの音楽提供としては1981年の「ポートピア'81」において神戸館の「神戸プラネタリウムシアター」の音楽を担当(アルバム『COSMOS』)や、ハウステンボスのエッシャー館の上映フィルムの音楽などがある。


大野雄二トリオ・Yuji Ohno & Lupintic Five〜Yuji Ohno & Lupintic Six

2000年代は作曲活動を極力抑え、井上陽介(ベース)、江藤良人(ドラムス)(ベースは2010年4月まで俵山昌之、ドラムスは2007年3月まで村田憲一郎)とともに「大野雄二トリオ」として、また、2006年にはトリオに加え、松島啓之(トランペット)、鈴木央紹(サックス)、和泉聡志(エレキギター)の3名を含む計6名で「Yuji Ohno & Lupintic Five」を結成し、全国でライブ活動を行っている(2015年末に一度解散)。 2016年には上記の松島・鈴木・和泉と、新たにドラムスに市原康とベースにミッチー長岡という大野の古くからの盟友2人、若手キーボーディストの宮川純をハモンドオルガンとして迎え、「Yuji Ohno & Lupintic Six」として活動を再開した。


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